藍を染める、愛に染まる。

藍は愛だという。野にある植物の色をいただき染められた糸を、布に織って着るという行為は至福だと思う。

先日葉山のポンナレットで、沖縄の西表島に暮らす染織家、石垣昭子さんのおはなしを聞きにいった。一途にひとつのことに取り組んできた人独特のゆるがない感じが、石垣さんのたたずまいにも感じられた。石垣さんは竹富島生まれ。島で育って、大学は東京の女子美だったという。卒業して5年間のOL時代を経て島へ戻った。島の女たちに受け継がれてきた染めや織りを意識し始めたころ、島を訪れた人間国宝の染織家、志村ふくみさんと出会う。3年間京都の志村さんに私淑し、本格的に染織家になったという。
石垣さんが現在住む西表島は、東洋のアマゾンともいわれ、熱帯・亜熱帯の動植物が数多く生息し、ゆたかな自然に満ち溢れたところだ。おはなしの前に、7年前に撮影されたというドキュメンタリーも見たが、見るものすべてが美しかった。庭には糸芭蕉の畑があり、藍を建てた甕が置いてある。石垣さんは、その藍の甕に毎日2回泡盛でご機嫌をうかがうという。藍に染まった指で泡盛をぺたぺた甕の内側に塗ってやる。もちろん甕の中身にも少しばかり流し込む。こうすると藍のご機嫌がよいそうな。糸芭蕉も刈り込みから糸にするまで全部自分でもやり、芯の柔らかいところは茹でて昼ごはんのおかずになっていた。こうして芭蕉の気持ちを身にも取り込むのだと言う。
島の染料は自生のものが多い。しかも独特でなんとも美しい色たちだ。紅露(クウル)の赤茶、ひるぎ(マングローブ)の黄、琉球藍の青、福木の黄などなど。染料採りはご主人の仕事だ。どの山に、あるいはどの道になにがあるかは頭に入っている。そのときに必要なだけをいただいてくるのだという。ゆたかな自然とやさしい人に恵まれて、仕事が成り立つのだという感謝の気持ちが石垣さんたちにはある。
石垣さんは言う。「出来上がった布が美しいと思うならば、この布が生まれるための泥まみれの工程にも思いを馳せてほしい。目に見えるものは目に見えない多くの営みに支えられているのだから」
またこうも言う。「糸を染め、布を織る暮らしは、日本の女たちの当たり前の暮らしだったはず。わたしはその当たり前のことをやっているだけなのに・・。この世の中、当たり前でないことが多すぎるのでしょうか」・・・と。
自然の営みと共存して、当たり前だった暮らしをすることがいかにむずかしいことになっているか、改めて思い知らされた。都会暮らしのわたしたちに欠けているものが、少し見えた気がした。
(写真は、私が若いころ織った藍染めの織物。左は麻。右の2枚は木綿。着物に仕立ててもよいのだが、愛おしすぎてハサミを入れることができないまま今日に至っている。藍の色は時間を経ている分
深くなったような気がする)

カフェではいまランチメニューを開発中。自家製のスモークサーモンを使ってサーモンパイを試作しました。パイ生地にバターソテーしたホウレン草とサーモンをはさんで焼くこと30分。少しサーモンがパサついている気がしたので、マッシュルームソースをサーモンにかけたパイも作ってみました。できたての熱々を試食したオーナーやスタッフからは絶賛の声があがったのですが、お客様にだすためのクォリティコントロールをどうするかでいま検討中です。

Lillian

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